縁日やお祭りのやわらかな灯り、アセチレンランプは、カーバイドに水を反応させてアセチレンガスを発生させて燃やすという簡便な光源として、夏の風物詩でした。
今日では、アセチレンランプを目にすることはまずありませんが、工事現場などでしばしば「アセチレンガス」と表示された茶褐色の容器にお気づきのことと思います。
歴史的には、明治後期に欧州よりガス切断技術が導入されて以来、アセチレンガスはわが国産業の発展に大きく寄与してきました。
大量消費型の需要家においては、アセチレンガスの代替ガスとして、メタンガスやプロパンガス、エチレンガスといった石油系ガスが使用されるようになりましたが、アセチレンガスはそれらに比べ、火炎温度が3,330℃と最も高いという特徴があります。
また、アセチレンガスの火炎は他の石油系ガスに比べ最も火炎の集中性が良く、高温で最小限のガスを切断個所に集中できるという最も効率の良い切断用ガスであり、この特徴を生かした主な用途として、切断・圧接・焼き入れ・溶射・ろう付等の金属加工があります。
また、原子吸光分析用燃焼ガスとして分析に使用されたり、レッペ反応を用いた化学製品の反応原料として使用されています。
ガス名 | メタン | プロパン | プロピレン | エチレン | アセチレン |
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火炎温度 | 2,780℃ | 2,800℃ | 2,900℃ | 3,000℃ | 3,330℃ |
(日本産業・医療ガス協会資料参照)